1958年第6回スウェーデン大会

大会方式: 16チームを4グループに分け予選1次リーグを戦い、各グループ上位2チームが決勝トーナメントへ進出する。
大会結果: 優勝  :ブラジル(初)
準優勝:スウェーデン
3位  :フランス
4位  :西ドイツ
得点王(13点): ジュス・フォンテーヌ(フランス)
総評:  地域予選にエントリーしたのは過去最高の53カ国。そのため各大陸の予選は熾烈を極め、地区予選の段階で強豪国が姿を消すという波乱もあった。たとえば南米予選ではウルグアイがパラグアイに敗れ、本大会出場を果たせなかった。ヨーロッパではイタリアが北アイルランドに出場を阻まれた。スペイン、ルーマニア、スイスといった国々もまた、本大会出場はならなかった。かわって登場したのは、1956年のメルボルン・オリンピックで優勝したソ連、英国4協会(イングランド・スコットランド・ウエールズ・北アイルランド)のチームであった。しかしそれらの国々も、この大会においては脇役でしかなかった。
 主役はなんといってもブラジル、そして若き天才ペレだった。当時ペレは17歳、小柄でいかにもひ弱そうな少年だった。まさかこの少年に神の技が宿っていようとは、誰も思わなかっただろう。ところが少年は魔法のボールタッチで、次々と奇跡のようなゴールを生み出し、見る者の度肝を抜いた。準々決勝のウエールズ戦では、DFを背にしてボールを受け、浮き球でDFをかわし、反転してシュート。ペレのFIFAワールドカップTM初ゴールである。
 続く準決勝のフランス戦ではハットトリックを達成。極めつけは決勝のスウェーデン戦での芸術的ゴールだ。クロスボールをジャンプして胸でトラップ、浮き球で相手DFの頭上を破り、落ち際をボレーで叩く。この美しいゴールに、ストックホルムのラスンダ・スタジアムに詰めかけた超満員の観衆は総立ちになり、割れんばかりの拍手を送った。地元スウェーデンの優勝を阻む敵のゴールだということを、忘れてしまったかのように……。
 ペレこと、エドソン・アランテス・ド・ナシメントは、この瞬間から“神”になった。またこの時ペレがつけていた「10」という背番号は、以後特別な意味を持つ数字となったのである。
 



◆決勝トーナメント

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優勝 ブラジル

 

 

西ドイツ

 

準優勝 スウェーデン

 

フランス

1-0

 

 

 

 

4-0

ユーゴスラビア

 

 

 

 

 

 

北アイルランド

 

 

 

 

 

 

スウェーデン

 

3-1

5-2

5-2

 

ブラジル

2-0

 

 

 

 

1-0

ソ連

 

 

3位決定戦

 

 

ウェールズ

 

フランス

 

 

 

 

6-3

 

 

 

 

 

西ドイツ

 

 




◆1次リーグ   勝点(勝=2点、分=1点、負=0点)
1組  西ドイツ チェコスロバキア 北アイルランド アルゼンチン 勝点
西ドイツ ---
2-2

2-2

3-1
1 2 0 7 5 4
チェコスロバキア
2-2
---
0-1

6-1
1 1 1 8 4 3
北アイルランド
2-2

1-0
---
1-3
1 1 1 4 5 3
アルゼンチン
1-3

1-6

3-1
--- 1 0 2 5 10 2
1組2位決定戦=北アイルランド2−1チェコスロバキア
2組  フランス ユーゴスラビア パラグアイ スコットランド 勝点
フランス ---
2-3

7-3

2-1
2 0 1 11 7 4
ユーゴスラビア
3-2
---
3-3

1-1
1 2 0 7 6 4
パラグアイ
3-7

3-3
---
3-2
1 1 1 9 12 3
スコットランド
1-2

1-1

2-3
--- 0 1 2 4 6 1
3組  スウェーデン ハンガリー ウェールズ メキシコ 勝点
スウェーデン ---
2-1

0-0

3-0
2 1 0 5 1 5
ハンガリー
1-2
---
1-1

4-0
1 1 1 6 3 3
ウェールズ
0-0

1-1
---
1-1
0 3 0 2 2 3
メキシコ
0-3

0-4

1-1
--- 0 1 2 1 8 1
3組2位決定戦=ウェールズ2−1ハンガリー
4組  ブラジル イングランド ソ連 オーストリア 勝点
ブラジル ---
0-0

2-0

3-0
2 1 0 5 0 5
イングランド
0-0
---
2-2

2-2
0 3 0 4 4 3
ソ連
0-2

2-2
---
2-0
1 1 1 4 4 3
オーストリア
0-3

2-2

0-2
--- 0 1 2 2 7 1
4組2位決定戦=ソ連1−0イングランド


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